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内大臣森林鉄道・幹線 No.02
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調査実施:2005年4月 報告書作成:2005年5月31日
       

 全長21.3kmある内大臣森林鉄道の幹線は、甲佐町の貯木場を起点とし、当時の木材切り出しの基地である内大臣事業所までを繋ぐ。現在不十分な調査で、現地調査をポイント的に行っているだけなので詳細な報告が出来ず申し訳ないが、調査終了したポイントを随時更新して報告書に追加していく様にしたい。報告書もNo.が増えるだけでなく のように前後の報告書に追記・変更が加えられるような歪な更新になるかもしれないがご了承いただきたい。

 さて、幹線は21.3kmと長い為、下記の地図のように平野部のAブロック、ダム湖エリアのBブロック、山間部で谷合のCブロックと分けて報告していきたい。現在幹線のほとんどは軌道敷を拡張され車道として使われているが、3ブロックの環境の違いでそれぞれの特徴が出ていて面白い。
 

 

Aブロック

 起点の甲佐貯木場があったと思われる位置には大型ショッピングセンターやパチンコ店があり、現在痕跡は全く残っていない。しかし、当時内大臣森林鉄道が連絡していたとされる熊延鉄道の甲佐駅は「熊本バス甲佐車庫」として国道443号沿いに残っている。熊延鉄道とは大正4年から昭和39年までの間、熊本市の国鉄南熊本駅を起点に御船町・甲佐町を通って砥用町に繋がっていた非電化ローカル私鉄だ。昭和39年の鉄道廃止後は熊本バス株式会社となり現在に至っている。

 甲佐駅であったという証は写真左側に立っている白い木製の杭だけだ。甲佐町教育委員会と書いてあり、反対側に「元甲佐駅」とある。あたりを少し散策するも内大臣森林鉄道どころか熊延鉄道の痕跡すら見つけることができない。やはりいきなり現地へ行ってもなかなか発見はできないものだと、諦めかけていた頃にあるモノが目に入った。

 ん?車庫の敷地の隅にある排水溝というかドブの蓋だが、普通とちょっと違う。近寄ってよく見てみると、微妙に反りが入った短冊状の鉄板が連なっている。鉄板の厚み、幅、中央に開いた穴などの特徴から、これは車の板バネ(サスペンションのバネ)をばらしたものだということに気が付いた。私は以前に板バネサスペンションの古い貨物自動車に乗っていたことがあったのですぐに分かった。板バネはバスのものなのか、と考えながら更に近づいて見てみると… !!!!!!!!

 
 

  
 
 これは、森林鉄道のレールではないか!!!このサイズのレールは紛れもなく内大臣の奥地で見たレールと同一のものだ。このレールを短冊状の板バネに溶接して排水溝の蓋にしてある。遺構の規模としては小さい発見だが、この甲佐町に森林鉄道のレールが残っているという点では非常に大きい意味を持つ発見ではないだろうか。数あるガイドブックや資料にも記されていない、このような発見は非常にうれしい。現地でもひとり興奮してしまったが、大の大人が国道脇にしゃがみこんでドブの蓋をニヤニヤしながら見ている姿は、傍から見たら非常に変であったろう(笑)。甲佐貯木場跡地周辺で発見したものは、現在のところこのドブの蓋のみであるが、近いうちにもう一度詳細な調査を行うつもりだ。