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内大臣森林鉄道・幹線 No.03
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調査実施:2005年4月 報告書作成:2005年6月5日
       

 甲佐貯木場跡の少し北側にある元甲佐駅(熊本バス車庫)を後にし、国道443号を南下する。緑川を渡る少し手前の交差点で左折すると、緑川に沿って県道220号が延びている。交差点には「あゆのやな場」や「井戸江峡」の看板があるので分かりやすい。この辺は田んぼが広がり、軌道敷跡を確認できなかった。県道をしばらく進むと集落内を通過し、鮎のやな場などを右手に迫る緑川に見ることができる。
 

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 軌道敷跡を確認できないまま県道220号にバイクを走らせると、左手に畑が広がる風景が見えてきた。畑の先は山になっているが、その境目に一定の高さで続く“線”を見つけた。その位置からして非常に怪しい。畑の中に点在する集落内を通って、その“線”にたどり着けた(地点・写真は振り返って)。コンクリートで舗装されているものの軽自動車がギリギリ通れる位の幅しかない。この道が軌道敷跡か、と考えていた時、近くに畑仕事をしている老人がいたので「この道は昔、森林鉄道が通ってませんでしたか?」と聞いてみた。老人は「トロッコが通ってたよ」と答えてくれたのでホッとした。やはり、地元の老人に聞くが一番である。しばらくは右手に畑を見ながらコンクリート舗装になった軌道敷跡が続くが、地点辺りで集落に入り痕跡が途切れる。

 緑川沿いの県道に戻り先へ進むと、だんだん左手の山が迫ってくる。右手には「井戸江峡キャンプ場」がつり橋の架かる向こう岸に見える。この辺から地点までの区間も、はっきりとした軌道敷跡を見つけることができない。昭和36年に発行された「甲佐町役場調製・甲佐町全図(1/25000縮尺)」によると県道と緑川の間のわずかな隙間を軌道が走っているが、実際は藪の斜面であったり、家が建っていたりしている。県道が軌道敷側に拡張されてしまった可能性も十分考えられるが、もう一度調査してみたい。

 いままで県道220号に沿うように走っていた軌道敷が緑川を渡り、対岸へ渡るのがC地点の鉄橋だ。内大臣森林鉄道の最大の遺構と称され、唯一緑川を横切るポイントでもある。四本のコンクリート製の橋脚にのるプレートガーター橋は、歩道として再利用されていたのか、上面はコンクリートが敷いてあり錆びた手すりも残っている。手すりとプレートガーター本体共に完全に錆びており、かなり老朽化しているのであろう、現在は橋の両岸とも工事用ロープで進入できないようにしてあった。
 

  

 
 地点から地点の破線の区間は、現時点(2005.6)で未調査の区間である。早い時期に調査をしたいと思っているので、今しばらくお待ちいただきたい。
 地点は、熊本県松橋から宮崎県延岡市へ九州を横断している国道218号が緑川と交差する地点である。緑川に架かる国道の鉄橋のすぐ下流側に、弘化4年(1847年)に造られた橋長90m石造単アーチ構造の霊台橋がある。大正9年、この単アーチとしては日本最大である石橋本体南側基部に、内大臣森林鉄道の為のトンネルが開けらた。この石橋は昭和42年に国指定の重要文化財に指定され、昭和52年には大掛かりな修復工事を施されるが、この軌道敷用の穴はそのまま残された。しかし国道の新橋があるために、上流側である反対側は埋められており貫通はしていない。ちなみに写真は橋の上から撮影しているが、下側の土地は私有地になっており残念ながら立ち入ることができず、トンネル内部や正面からの撮影はできなかった。